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Today's record

好きなものものを紹介していく

言葉にリボンをかけるということ

 

高校を卒業するにあたって、3年間をふりかえってみた。

思い出してみると色々と忙しかった。

何せ行事の多い学校だったので、常にワイワイガヤガヤしていた記憶がある。目まぐるしい早さで高校生活が終わってしまった。

その中で、今だに鮮烈に覚えている、ある友達が私に言ってくれた一言をここに書いておこうと思う。

 

 

 

 

その一言を言ってくれた友達は天真爛漫という言葉を体現したかのような子で、いつも笑顔で、明るくて、時には悩むこともあって、怒ることもあって、何にでも一生懸命な本当に素敵な子だった。

陰口を嫌い、皆に優しく、将来は幼稚園の先生になりたいと言っていた。

同じクラスになりしばらく付き合ううちにその性格に本当に裏表がないことを知り、ああ世の中にはこんなに心の綺麗な子がいるのか、と半ば呆気にとられた。人間の汚さ、醜さが全くない子だった。その子と話す時はいつだってワクワクした。太陽みたいな子だった。

  

 

 

 

ある冬の日。私はその子と選択授業が一緒で、隣の席に座っていた。

 

確かその子は私の持っていた灰色のマフラーを、似合っていると褒めてくれたのだと思う。だから私はその子の持っていたリュックと手提げとマフラーが同じ赤色だったのを見て、「△△(友達の名前)ぽいね、赤色△△に似合うよね、持ち物に統一感あって好き」などと返した記憶がある。

 その子は、ありがとうとつぶやいた後、少し黙ってから笑顔で私の腕をとって唐突にこう言った。

 

 

 

「うちね、◯◯(私)の全部が好きだよ!」

 

 

 

私は軽く頷いて、そこで会話は終わったのだが、しばらくしてから私の胸の中に暖かいものが広がった。

 

その子と私は一度は同じクラスだったものの、とても仲が良いというわけではない。もちろん私に直してほしい部分だってあるだろう。誰だって長所があれば短所がある。

でもそこまで仲が良いわけではない相手を、他愛ない会話の中で全肯定できてしまう優しさ。

 

授業に集中せずしばらくその子のその言葉を考えて、私はとある漫画の台詞を思い出した。榛野なな恵さんの漫画、『Papa told me』の中の一場面。

 

 

 

 

 

少し大袈裟に相手を褒めてしまった主人公が、そのことを友達に相談する。思いがけない感動シーンになってしまってなんだか相手に悪いことをしたようで心が痛む、と。

それに対して友達はこう答える。

 

「悪くないよ それって例えばこういうもの」

「リボン?」

「贈りものはきれいな箱に入ってかわいいリボンがついてた方が嬉しいでしょ。ことばにもちょっとリボンをかけてみましたよってこと」

 

 

 

 

 

言葉にリボンをかけるということ。

きっと私の友達は、人に話す言葉にリボンをかけることができる子なんだと思った。

 

 

自分のことがどうしようもなく嫌になった時、あのたった一言に何度も励まされている。わずか5秒にも満たない出来事に。

 

とびきり素敵なリボンがかかったその言葉は、私の心の真ん中で、いつも暗闇を明るく照らしてくれる。